2013年7月16日火曜日

除草法まとめ

 毎年、梅雨の間に雑草が生い茂ってしまいます。

 雑草にとっては気温も暖かいし、水分もたっぷりでいい季節かもしれませんが、我々にしてみれば雨に打たれるのは嫌だし、蒸し暑くて体はだるいし、土も濡れていて歩きにくいし、どうしても管理が行き届かなくなります。

 お互いの都合が合致して、梅雨が明けたあとは見るも無惨な有様に・・・

という訳で、半ばあきらめ加減ながらも、ここで除草方法についてまとめておきたいと思います。



 方法は、大きく分けて5つに別れます。

1)生態的方法

 輪作、特に田畑輪換が有名です。

 畑で生育する雑草と、水田で生育する雑草は種類が異なります。

 畑で生育する多くの雑草は、たとえ発芽したとしても、常時冠水した状態にすることにより根が呼吸できなくなり、枯れてしまいます。



2)機械的方法

 鎌で刈り取ったり、鍬で土ごと削り取ったり中耕したりする方法です。

 農機で言えば、刈り払い機や管理機です。

 一番単純な方法ですが、どうしても手間がかかります。

 管理機が最も省力的ですが、小回りがききにくいという難点があり、一長一短です。



3)除草剤

 効果が高く、種類も豊富ですが、使い方を間違えずに使用する必要があります。

 大きく分けて、土壌に撒くタイプと、草に直接散布するタイプがあります。

 土壌に撒くタイプは、雑草が生える前にあらかじめ撒いて、雑草の発芽を抑えるものです。

 ちなみに多くの場合、作物の種をまいた後にこの除草剤を散布しますが、作物には害を与えず雑草の発芽のみを抑えることができます。

 一般に、発芽する雑草の種は土のごく表面、作物の種はそれよりも奥にある場合が多く、除草剤はごく表面に吸着して内部に浸透しないので、このような選択性が得られます。

 茎葉に直接散布するタイプには、どんな植物にも効く非選択性の除草剤と、特定の作物には効かない選択性の除草剤があります。

 非選択性の除草剤は、当然ながら作物にはかからないように散布する必要があります。

 選択性の除草剤は、例えばイネなら田植えのときに一緒に撒いておけば、イネ以外の雑草を枯らしてしまうという、極めて便利なものです。

 このような選択性を持たせるためには、それぞれの植物の持つ特徴をよく調べて、その性質を利用しています。

 例えば特別な酵素を持っている作物に、その酵素で分解されるような成分の除草剤を使うとか、除草したい植物固有のアミノ酸の合成を抑えるような成分を持つ除草剤を使うといった手段です。

 上述の稲の田植えの場合は、除草剤は土の表面のみに吸着して根から吸収されて効くようにしています。

 一方の稲は深く植え込んでしまって除草剤成分を吸収しません。



4)物理的処置

 マルチを張ったり、火炎放射器で燃やしたりする方法です。

 除草目的では、マルチは光を通さないように黒色のものが用いられます。

 マルチは剥がすのが面倒ですが、最近では生分解マルチといって、剥がさなくても分解されるものが市販されています。

 ただし、普通のマルチよりも割高になります。

 敷き藁等でも、ある程度分厚く敷けば草は生えませんが、風で吹き飛んで光が土まで届くと、草が生えてきて、その際には草取りがかえって大変になってしまいます。



5)生物的処置

 ヤギなどの家畜に食べてもらうとか、アイガモに水田の中を泳いでもらい、土をかき回して植物を根付かせない方法です。

 微生物を利用する方法もあります。

 スズメノカタビラという雑草に寄生して、栄養や水分の通り道を塞いで枯らします。

 生物農薬として、販売されています。

 虫による除草方法もありますが、これについては生態系に対する影響から、販売はされていないようです。



 以上、色々挙げましたが、あまり神経質になりすぎないようにしましょう。

 完璧に草を取りきるのは大変だし、雑草が生えていることによる有利な点もあります。

 風雨で土が流亡するのを抑える効果もあるし、乾燥を防ぐ効果もあります。

 要は、作物に害のない程度であれば雑草はいてくれてかまいません。

 これをIPM(総合有害生物管理)といいます。

 農薬の選択性の話を書いたときも出まね

 気象条件等から有害生物(この場合は雑草)の発生予測をし、それに応じて防除します。

 防除の方法も一つの方法にこだわらずに、多数の方法を組み合わせます。

 これにより、除草剤の使い過ぎによる環境面での悪影響や、土の耕し過ぎによる土壌粒子の流亡等を防ぎます。

 農作業をする人(の財布と体力)にとっても優しい考え方なので、是非取り入れましょう。

参考にした本
日本雑草学会編 ちょっと知りたい雑草学 全国農村教育協会

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