2013年10月22日火曜日

昆虫の休眠


朝晩、だいぶ涼しくなってきました。

害虫の被害もだいぶ少なくなってきました。

夏場は害虫に食われないようにどうしようか、と色々対策を練りますが、今の時期は皆様余り気にしていないのではないのではないでしょうか?

しかし、彼らは生き残るために必死の活動を続けています。

すなわち、冬に向けての休眠の準備です。

であれば、我々も今の時期をのほほんと過ごしていいはずがありません。


敵を知り、おのれを知れば百戦危うからず!


害虫を知り、自分の農作業の腕を知れば、豊作危うからず?


彼らの習性を良く知り、今から防除の手を緩めず、来年の虫害をおさえましょう!

そういう訳で、今回は昆虫の休眠について調べました。

中でも、特に我々の強敵であるヨトウムシを中心に述べます。



まずは、そもそも休眠は何のために行うのか、という点から見ていきましょう。

昆虫は、過酷な環境を一時的に乗り切るために、休眠を行います。

具体的に、過酷な環境とは、暑さ、寒さ、乾燥、飢え、等々です。

特に寒さは、凍死する可能性があるので危険です。

さらに、寒い時期には食べ物がないことが多いです。

例えば、カメムシ等は、主に我々の大事な植物の実を食べる(怒)ので、果菜類のシーズンが過ぎると食べ物がなくなるわけです。

そこで、こうした時期は休眠によりやり過ごすことになります。



ここで重要なのは、過酷な環境になってから休眠する訳ではなく、事前に予期して休眠することです。

寒くなってからでは、手遅れになってしまうかもしれません。

ではどうやって予知するか、というと、日照時間の変化を利用します。

日照時間が短くなることにより虫達は、「ああ、もう秋だな〜」と休眠の準備に入るわけです。

暑い夏に弱い虫もいて、その場合、彼らは日長時間が長くなって休眠します。

ヨトウムシは夏冬とも休眠します。



次に、どの時点で休眠するか、ですが、これは昆虫の種類によって色々です。

主な害虫について冬眠の際の生育ステージを書きますと

多くの種類のコオロギ、バッタ、他・・・卵で休眠

ニカメイガ、多くの種類のコオロギ、他・・・幼虫で休眠

アゲハ、ヨトウムシ、他・・・蛹で休眠

多くの種類のカメムシ、ウリハムシ、他・・・成虫で休眠


ヨトウムシについては、幼虫の段階で日照時間の変化を読み取って休眠の準備に入り、サナギになって越冬します。



ただし、日照時間だけでなく、やはり温度も休眠に関与しています。

ヨトウムシについて、人工的に光をあてる時間を変え、明るい時間と休眠との関係を調べた資料があります。

これによると、17℃以下の低温では、日照時間がある時間以下に短くなるとどんなに短くなっても休眠します。

24℃くらいの適温では、休眠の日照時間も適正値があり、時間が短すぎても長すぎても休眠しません。

そして、30度以上の高温では、日照時間が変わっても休眠が誘導されません。

ちなみにこのような高温では、彼らは休眠せずに元気よく暴れ回る訳ではなく、起きたまま蛹になっています。



と、ここまで書いてきましたが、肝心の休眠を利用した防除方法についてはあまり思いつきませんでした。

しいて言えば、施設栽培の方であれば夜間に照明を付けたり保温したりしてヨトウムシを撹乱させることぐらいでしょうか?

まあ、こんな話もある、ということで・・・

参考にした本

田中誠二 檜垣 小滝豊美  休眠の昆虫学 東海大学出版会

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